強制わいせつは「13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をすること」あるいは「13歳未満の男女に対しわいせつな行為をしたこと」で成立する罪で、その法定刑は6か月以上10年以下の懲役となっています(刑法176条)。
 
逮捕・勾留の流れは、上記5.と同様ですが、大きな違いはこの「強制わいせつ」が被害者の方の心情や名誉に対する配慮から「親告罪」とされ、告訴がなければ起訴できないという点です(刑法180条1項)。

当該強制わいせつが、集団でなされたものである場合には、親告罪ではなくなりますが(同条2項)、親告罪たる強制わいせつの場合、被害者の方への対応が非常に重要になります。

警察・検察という捜査機関も、起訴が出来ないのであればそもそも刑事手続を進める意義がありませんから、早期の身柄拘束からの解放・事件の早期解決のためにも、被害者の方と示談をし、そもそも告訴をしないでもらうことあるいは告訴を取り消してもらうことが何よりも大切ということになります。
 
しかし、被害者の方は、当然心身にダメージを受けている状態ですから、簡単に加害者側との交渉などはしてもらえないのが普通です。

そこで、通常は事件の担当検事などを通じて交渉の可否や被害者側の連絡先を弁護人から問い合わせ、その上で被害者の方に納得していただける示談の条件をすり合わせていく、ということがなされています。

もし交渉が上手くいき、被害者の方と示談ができれば、上記のように告訴を取り消してもらって起訴を免れることもありますし、仮に告訴取消しまでは達成できなくても、刑事裁判手続の中では示談できたということを踏まえて量刑が決まりますから、いずれにしても示談の有無は結論に大きな差が出てくるといえるのです。

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