そもそも歩合給って何?

歩合給とは、出来高払制(労働基準法27条)など、業績に対して定められた金額が支払われる種類の賃金制度のことであり、労働基準法上認められた賃金制度です。

歩合給でも残業代は発生するの?

歩合給といっても労働の対価としての賃金である以上、法定労働時間を超えて労働した場合(時間外労働・休日労働・深夜労働)には、その部分について労働基準法37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)に基づき、割増料金が支払われなければなりません。

残業代計算について月給制の場合との違いは?歩合給の場合の残業代計算の基礎となる時給はどのように計算するの?

割増賃金を計算するにあたっては、まず、その歩合給の額を総労働時間で割って1時間あたりの歩合給を計算することになります。

例えば、ある月の歩合給の合計額を法定労働・時間外労働を含めた労働時間で割った金額(歩合給÷総労働時間)が、当月の1時間あたりの歩合給の金額になります。

これに割増率0.25を乗じ、時間外労働時間をかけ合わせて、歩合給の割増賃金(残業代)が計算されることになります。

なお、上記のとおり、歩合給の場合の割増率は、一般的な残業代のように1.25ではなく、0.25になる点に注意が必要です。

その理由については、「出来高払制その他の請負制によって賃金が定められている場合、時間外の労働に対する時間当たり賃金(1.0に該当する部分)は、すでに基礎となった賃金総額のなかに含められていますので、加給すべき賃金額は、計算額の2割5分以上であれば足りることになります。」(昭23.11.25 基収第3052号)との説明がなされています。

最後に、参考となる裁判例として、「タクシー運転手に対する月間水揚高の一定率を支給する歩合給が時間外及び深夜の労働に対する割増賃金を含むものとはいえない。」と判示された民事裁判例(割増賃金等事件(高知県観光事件 最高裁 平成6.6.13 労判653号))があります。

具体的には、タクシー運転手に対する賃金が月間水揚高に一定の歩合を乗じて支払われている場合に、時間外及び深夜の労働を行った場合にもその額が増額されることがなく、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分とを判別することもできないときは、右歩合給の支給によって労働基準法(平成五年法律第七九号による改正前のもの)三七条の規定する時間外及び深夜の割増賃金が支払われたとすることはできないものとしています。

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