会社が破産をする場合、債権者が自分の債権を回収しようとして、会社の倉庫などから在庫商品を持ち出そうとすることがありますが、このようなことはもちろん違法であり、後に破産管財人から損害賠償請求をされたり、また、窃盗罪などの罪で刑事告訴されたりすることがあります。
債権者が会社に押し掛けて在庫商品を持ち去ろうとした場合には、弁護士から債権者に対して、会社の在庫商品を持ち去る行為は違法であることを説明することが必要です。
また、倉庫だけでなく、自社工場、資材置場や仕掛中の現場といった、商品や材料・機材・自動車などのある場所には、鍵をかけたり従業員を配置したりして内部に入れないようにし、持ち去りをした場合には刑事・民事上の責任を問われることを記載した告示書を掲示するなどして、適宜予防策を講じる場合もあります。
ただ、このようなことは昔に比べると減っていると思います。
それだけ世の中が平和になったのかもしれません。
また、会社が破産した場合に、債権者が押しかけて大騒ぎになるかどうかは、これまで会社を経営していた社長の人柄、経営に対する姿勢にもよると思います。
社長が誠実な人柄で、これまで真面目に事業を行ってきたのであれば、債権者もそのことが分かっていますから、大騒ぎになることは少ないと思います。
反対の場合は、債権者は社長が財産隠しをしていると疑うこともありますし、社長に対して、債権が回収できないことの怒りをぶつけようとしますから、大騒ぎになることも多いでしょう。
それでは、債権権が納品した品物がまだ会社内にあり、債権者が、自分が納品したもののみを取り返しに来たという場合はどうでしょうか。
原則として、支払い未了であったとしても返品する必要はありません。代金の支払いを受けていない売主は、破産手続きの中で破産債権者として扱われることになります。
もっとも、例外的に、売主が先取特権を行使して、競売開始決定まで取得しているような場合には、返品することについて慎重な検討が必要です。
基本的には、破産申立の段階で返還することはせず、破産管財人に未払未了の商品も含めて引継をすべきと考えられます。
リース物件については、所有権がリース会社にありますから、会社が破産し、リース料が未払いになった場合は、リース会社に返還しなくてはなりません。
リース会社が返還の要求をしてきた場合は、返還の日時を決め、弁護士あるいは破産会社の社長、従業員などが立会いのうえ、リース物件の返還をすることになります。
また、リース物件が本社建物、事務所内などに残っていると、これら建物、事務所の明渡し、処分などに影響することがありますので、速やかに処理をしていくことが必要です。
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