① 係争中の訴訟について
会社の破産手続開始決定により、係争中の訴訟は中断し(破産法44条1項、45条1項)、その後、破産管財人又は相手方からの受継の申立(いったん中断された訴訟を続行するこ旨の申立てです)がなされた場合に、訴訟は再度進行することになります(破産法44条2項)。
破産債権に関する訴訟については、配当が見込まれる事案の場合、債権届出後の債権調査においてこの破産債権に対し異議が述べられなければ、この破産債権は確定し、訴訟は当然終了しますが、異議が述べられたときは、債権確定訴訟に切り替えられ、訴訟が続行することになります。
配当が見込まれない事案の場合、異時廃止(破産手続き開始後に、手続きを進めるほどの財産がないとして、破産手続きが終了することです)により、破産者である法人が消滅することで訴訟は当然終了したと処理されたり、あるいは債権者側で訴訟の取下げをするということになります。
② 法人税や消費税の申告について
会社は、破産手続開始決定により解散し、その日を末日として事業年度を終了することになるため(解散事業年度)、その翌日から2カ月内に法人税や消費税の申告が必要になります。
この点の申告について、破産管財人が申告義務を負うと解されています。
ただ、解散事業年度において、破産する会社に所得が生じていることは稀であり、管財人が税務申告をする意義は、税金の還付を受けられる(財団の増殖を図る)場合があることや税の支払を免れる(財団の減少を防ぐ)ことにあります。
例えば、解散事業年度において欠損金が生じている場合には、繰戻し還付を請求することができ、前年度の法人税を滞納している場合については、その納付の必要がなくなります(欠損金の繰戻し還付)。
なお、多額の還付も見込めず、税理士などに申告のための費用を支払うと財団の増殖に寄与しない(費用対効果として見合わない)場合には、事実上申告ができないこともあり得ます。
③ 財産隠し、虚偽の報告について
これらの行為が行われた場合、破産債権者が害されることになるため、行為者は処罰されることになります。
例えば、財産隠しをした者は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれらが併科され(破産法265条1項)、法人の代表者や取締役などの関係者が、虚偽の説明を行った場合は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれらが併科されます(破産法268条1項、2項)。
破産手続廃止決定が出た後に、隠匿していた財産が発見されたような場合には、配当手続における追加配当規定に準じて追加配当を実施することや、破産手続廃止決定を取消した上で配当を実施するなどの対応をとることが考えられます。
発見された財産の価値が小さい場合には、管財人に対する追加報酬とされることもあります。
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